ミニレベルの解析における繊維分布モデル (Mini-Level Analysis Fiber Distribution Models)
概念的には妥当ではありますが、ミクロレベルの解析は実際的ではありません。複合材のガラス繊維のアレンジに不確実性があり、多くの繊維がランダムに分布して、当初は平行に配置されたとしても結果的にはセミランダムな方向を持っているためです。また、ランダムな長さにもなります。結果として、評価では統計的な処理が必要になり、詳細な有限要素法的な解析は適切ではありません。
ミニレベルの解析では、積層を「連続」体とした材料として扱います。材料特性と損傷モードは想定する断面分布で繊維と母材を積分し平均化して推定します。繊維の分布の推定方法によって、材料のパラメーターの決定に大きな影響を与えます。もっとも一般的な2つの分布が想定されます。すなわち、正方形と六角形で、六角形が一般的にランダムな繊維の分布を比較的よく表していると考えられています。
応力ひずみ関係は、連続体として次のように表すことができます:
eaa = saa/EL - (nL/EL)sbb - (nL/EL)scc
ebb = -(nL/EL)saa + sbb/ET - (nT/ET)scc
ecc = -(nL/EL)saa - (nT/ET)sbb + scc/ET
eab = tab / 2 GL
ebc = tbc / 2 GT
eac = tac / 2 GL
ここで:
eij = 面 j での i 方向のひずみ
sij, tab = 面 j での i 方向の応力 (垂直応力とせん断応力)
EL = 積層の長手方向の縦弾性係数
nL = 積層の長手方向のポアソン比
ET = 積層の横方向の弾性係数
nT = 積層の横方向ポアソン比
GL = 積層の長手方向せん断弾性係数
GT = 積層の横方向せん断弾性係数
これらの関係式では、連続体として評価するために 4つの弾性係数 EL、ET、GL、GT と、2つのポアソン比 nL と n を必要とします。これらのパラメーターの推定のため、さらに詳細な研究 (参照4-10) が行われています。一般には、繊維が母材よりもかなり剛な場合には長手方向のパラメータは、次のような明確な形で計算されます:
EL = EF f + EM(1 - f)
GL = GM + f/ [ 1 / (GF - GM) + (1 - f) / (2GM)]
nL = nFf + nM(1 - f)
横方向のパラメータは計算できません。上限と下限のみが与えられます。実験結果との補正の近似式は次のように表すことができます (参照 5 と 6):
ET = [EM(1+0.85f2) / {(1-nM2)[(1-f)1.25 + f(EM/EF)/(1-nM2)]}
GT = GM (1 + 0.6Öf) / [(1 - f)1.25 + f (GM/GF)]
nT = nL (EL / ET)
これらの式は、均一な材料モデルとして積層に働く長手方向と横方向の応力の計算を可能とします。得られる応力は、ミクロ解析で展開した関係式から個々の繊維と母材の応力に分解することができます。