調和振動 (Harmonic) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

Language
日本語
Product
CAESAR II
Search by Category
ヘルプ
CAESAR II Version
13

この種の荷重履歴は、方向と大きさが卓越した振動数をもっており、最小から最大までの動きが決まった周期で繰り返されます。たとえば、荷重は次の式で表されます:

F(t) = A + B cos(w t + f)

ここで:

F(t) = 時間関数の荷重

A = 平均荷重

B = 最大と最小の差から平均を引いた変化

w = 角振動数 (radian/sec)

f = 位相 (radians)

t = 時間 (sec)

調和振動荷重は、調和振動解析がもっとも適切な解法です。調和振動荷重の主な種類は、機器の振動、音響振動、脈動です。

機器の振動 (Equipment Vibration)

配管に接続する回転機器が駆動軸の偏芯により若干のミスアライメントがある場合、接続する配管にわずかな変位振動が生じます。この変位振動は機器の運転時の回転数に一致します。配管接続部の変位振動はわずかですが、動的には重大な問題を引き起こす場合があります。荷重と時間は機器の運転時の回転数とミスアライメントの量がわかれば容易に予測できます。

音響振動 (Acoustic Vibration)

オリフィスを通る流体が層流から乱流に流れの状態が変化するなど、配管内の流体が変化する場合、配管内でわずかな横方向の変化が生じます。この変化は調和振動の特徴を持つ場合には、流れの状態にもとづいて予測可能な卓越振動数があります。たとえば、ストローハル (Strouhal) 方程式では、オリフィスを通る展開振動数は 0.2 V/D から 0.3 V/Dと推定されます。ここで、V は流体速度 (ft./sec)、D はオリフィスの外径 (ft) です。配管周りの風の流れは、ボルテックス シェディング (vortex shedding) で知られるように横変位を生じ、0.18 V/D の励起振動を伴います。

脈動 (Pulsation)

レシプロ・ポンプ、あるいは圧縮機の運転では、回転軸によるピストンの往復動で流体は圧縮されます。これにより、配管系の流体圧力に時間変化が生じます。配管系のエルボの組合せ、あるいは閉鎖部では、圧力の不平衡が起こると、アンバランスな圧力による荷重が作用します。また、圧縮機のサイクリックな圧力変化によっても、アンバランスな圧力による荷重が作用します。変動荷重のサイクル数は回転機械の回転数の整数倍にほぼ等しくなります。これは、回転軸の回転に伴う複数のピストンの動作に対応しています。圧力変動は内部流体の流れに起因して、定常な安定流とアンバランスな荷重が配管系のエルボで同時に作用します。荷重の大きさは変化します。変動する流体の速度、圧縮機からのエルボの組合せまでの距離、エルボ間の配管長さによっては、荷重サイクルも同位相であったり、位相が異なったりします。

たとえば、エルボ a における圧力を Pa(t)、エルボ b での圧力は Pb(t) とすると、2つのエルボ間でのアンバランスな荷重は次の式で表すことができます:

F(t) = (Pa(t) - Pb(t)) A

ここで:

A = 管内断面積

時間 t=0 でのエルボ a での圧力のピーク、Pa(t) は次のようになります:

Pa(t) = Pavg + 0.5 (dP) cos w t

ここで:

Pavg= 配管系の平均圧力

dP = 圧力の変動全振幅

w = 振動円振動数

エルボ間の長さを L とすると、圧力パルスのエルボ a からエルボ b に到達するまでの時間 ts は次のようになります:

ts = L / c

ここで:

c = 流体の音速

したがって、エルボ b の圧力は次の式で表すことができます:

Pb(t) = Pavg + 0.5(dP) cos (w t - Q)

ここで:

Q

= エルボ a b での圧力ピークの位相

= w ts

これらの式から、エルボ間でのアンバランスな圧力荷重は次のようになります:

F(t) = 0.5(dP)A * [ cos w t - cos w (t - L/c) ]

定常な状態では、配管系のすべてのエルボの組合せで同様なエルボ間でのアンバランスな圧力荷重が生じます。