動的解析のためのモデルの修正点 (Model Modifications for Dynamic Analysis) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

Language
日本語
Product
CAESAR II
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CAESAR II Version
13

動的解析を実行するには、まずモデルを作成し、エラーチェックを行ってください。通常、動的解析を始める前に静的解析を実行しますが、非線形のサポートまたはハンガー選定があるモデルでない限り、要求されません。非線形のサポートがある場合には、静的解析を実行してエラーがない状態でなければ、動的解析を実行できません。

CAESAR II の動的解析機能では、配管系と構造物モデルに線形性を要求します。非線形性を伴う動的応答解析機能は持っていません。非線形性の例として、配管ラック上の配管が一瞬浮き上がってから次に衝撃的にぶつかるような例は解析できません。動的解析での配管系のモデルは、完全に支持か、完全に自由かのいずれかになります。静的解析で用いられる非線形拘束は、動的解析で用いる場合には機能を常にオンかオフかいずれかに設定し直さなければなりません。CAESAR II は静的荷重解析結果で設定された条件を Control Parameters タブの 非線形拘束状態の静的荷重ケース (Static Load Case for Nonlinear Restraint Status) に指定することで変更できます。通常、運転条件での非線形支持状態を動的荷重における支持条件としています。たとえば、静的運転荷重ケースと運転荷重ケースで +Y 支持が浮き上がっていなければ、動的荷重ケースの非線形支持としての条件はこの運転状態を指定し、CAESAR II は動的解析で双方向に機能する Y支持を設定します。配管は動的荷重にかかわらず上下に動くことはないものとします。

もうひとつの非線形性の影響は摩擦です。摩擦の影響を動的解析で行うときには線形化が必要です。デフォルトでは、CAESAR II は摩擦の影響を動的解析から除きます。CAESAR II はユーザーの要求により、動的解析で摩擦抵抗を近似的にモデル化するように支持点に直交するばねをモデル化します。Y支持に対する摩擦は、X と Z方向にばねがモデル化されます。このばねはユーザーが定義する静的解析で求められた摩擦力の関数です。CAESAR II は、選択された静的荷重ケースから支持点の合成荷重に摩擦係数と Control Parameters タブで定義した Stiffness Factor for Friction を乗じてばねを計算します。たとえば、静的解析から支持点の合成荷重が 1000 lb、摩擦係数 (mu) が 0.3 とすると、摩擦力は 300 lb になります。Stiffness Factor for Friction が 500 であれば、ばねは SQRT(1000^2 + 300^2)*0.3*500=156605 となり、摩擦が作用する支持点に平行の 2方向にこのばねが挿入されます。摩擦減衰をばねに変換することは理論的に妥当ではありませんが、動的摩擦のエンジニアリング的なよい近似方法として利用できます。