クラス 1分岐管たわみ性 (Class 1 Branch Flexibilities) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

Language
日本語
Product
CAESAR II
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ヘルプ
CAESAR II Version
12

この解析オプションは、次の目的のために CAESAR  II に追加されています:

  • 配管系の分岐管での局部たわみ性を自動的に計算し、より現実の現象に近い解を得ることができます。このような配管系の分岐管(交差部)での局部たわみ性を解析するのにあまり費用はかかりません。また、同じモデルで若干異なる入力方法でモデル化による結果の影響を調べることがあります。このようにして得られた結果の数値に対して、ある程度の信頼性を得ることができます。たとえば、構造物の支持鋼材がその剛性の影響を調べるためにモデル化されるでしょうし、ノズルのたわみ性が圧力容器接合部に加えられてこれらの因子がどのように荷重に与える影響を調べることもあります。摩擦を考慮して、変形と機器の荷重の影響を調べることもあります。CAESAR  II では、クラス1の配管交差部のたわみ性を考慮することができます。この機能は、設定ファイルのパラメーターである Class 1 flexibilities (クラス1 フレキシビティ) をオン、あるいはオフにするだけで設定することができます。その他の入力の修正は一切必要ありません。

  • WRC 329 では、交差部の応力を改善する多くの提案がなされています。これらの提案は非常に重要で有益です。もっとも重要な点は、著者である E. Rodabaugh によれば、交差部の応力を改善するには次の方法があるとしています:

    「配管系の解析において、分岐管と母管の中心での交差部の交点はでの剛体と仮定して扱われている。しかしながら、この仮定は正確ではなく、もっと適切なたわみ性を考慮すべきである。」

  • Class 1 Branch Flexibility (クラス1 ブランチ フレキシビリティー) の使用方法は次のようにまとめられます: すなわち、設定ファイルで Class 1 Branch Flex (クラス1 ブランチ フレキシビリティー) オプションをオンにします。

  • 異径分岐管の形状制限を満足する場合に CAESAR  II はヘッダーの中心から外表面へ剛体のオフセットをモデル化し、ヘッダーのオフセットと分岐管の開始節点の間に、ヘッダーの局部たわみ性を挿入します。分岐管の応力計算はヘッダーの接続点で行われます。

  • 異径分岐管の形状制限を満足しない場合 CAESAR  II はヘッダーの中心から外表面へ剛体のオフセットをモデル化します。分岐管は、この剛体オフセットから開始します。局部たわみ性は有意なこととは見なされず挿入されません。(重要ではないとみなされます。) 分岐管の応力計算はヘッダーの接続点で行われます。

CAESAR  II での異径分岐管の形状制限は次のとおりです。

d/D £ 0.5 and D/T £ 100.0

ここで:

d = 分岐管の外径

D = ヘッダーの外径

T = ヘッダーの肉厚

Class 1 branch flexibilities (クラス1 ブランチ フレキシビリティ) を用いる場合で、異径管の形状制限要求が満足されない解析上の交差部モデルはより剛になり、異径管の形状制限要求を満足する交差部モデルはよりたわみ性が増します。一般に、より剛な交差部はさらに大きな荷重を伝達し、より高い応力となり除荷された部分の応力は低くなります。一般に、よりたわみ性のある交差部はより小さな荷重を伝達します。その代わり荷重が集中する部分ではより高い応力になります。

CAESAR  II で用いられる分岐管のたわみ性の規定は、ASME III, Subsection NB, (Class 1), 1992 Edition, Issued December 31, 1992, Code Sections NB-3686.4 と NB-3686.5 に準拠しています。

異径管の規定を適用すると、次の式で局部たわみ性が得られます:

並進方向剛性 (TRANSLATIONAL):

軸 (AXIAL) = RIGID

円周方向 (CIRCUMFERENTIAL) = RIGID

長手方向 (LONGITUDINAL) = RIGID

回転剛性 (ROTATIONAL):

軸 (AXIAL) = RIGID

円周方向 (CIRCUMFERENTIAL) = (kx)d/EI

長手方向 (LONGITUDINAL) = (kz)d/EI

ここで:

RIGID = 1.0E12 lb./in. または 1.0E12 in.lb./deg.

d = 分岐管の外径 (Branch Diameter)

E = 縦弾性係数 (Young’s Modulus)

I = 断面 2次モーメント (Cross Section Moment of Inertia)

D = ヘッダーの外径 (Header Diameter)

T = ヘッダーの肉厚 (Header Thickness)

Tb = 分岐管継手の肉厚 (Branch Fitting Thickness)

kx = 0.1(D/T)1.5[(T/t)(d/D)]0.5(Tb/T)

kz = 0.2(D/T)[(T/t)(d/D)]0.5(Tb/T)

詳細は、WRC 329 Section 4.9 Flexibility Factors (たわみ係数) を参照してください。このセクションの簡単な説明は次のとおりです:

「たわみ係数 "k" の重要性は、配管系の特性によって変わります。定性的に、エルボーとその係数 k の影響を含んで、"k" が配管系の長さに比べて小さければ、計算されるモーメントへの分岐接続部の "k" の影響は小さくなります。反対に、"k" が配管系の長さに比べて大きければ、計算されるモーメントへの分岐接続部の "k" の影響は非常に大きくなります。もっとも大きな影響は、分岐接続部のモーメントを低減する効果です。分岐接続部への影響は上記の式を用いて、D=30 in., d=12.75 in., T=t=0.375 in. での分岐接続部の "k" 値を計算すると次のようになります:

k = 0.1(80)1.5(0.425)0.5 * (1.0) = 46.6

剛体接合の場合の k=1 と比べれば、k=46.6 にもなります。」

Section 4.9 では、分岐接合部の剛性を過大評価する問題についてさらに詳細に説明しています。接合部の応力が非常に高いと「誤って」評価することにあります。さらに詳細な内容については、WRC 329 を参照してください。

分岐部のたわみ性自動計算は、モデル内で分岐管要素を定義した場合にのみ利用することができます。すなわち、解析モデルのヘッダー配管が残されていないときに利用可能です。このような場合は、分岐管端部へ適用されるヘッダー外径の 1/2 の長さの「オフセット」がありません。 ヘッダーがモデル化されていない「部分的な交差部 (partial intersection) 」は 1つの要素でモデル化されるか、あるいはヘッダーが同一線上になく形状的な交差部の一部であるような場合です。分岐管と交差するヘッダーがない場合には、クラス1の分岐管のたわみ性をモデル化するための修正はありません。少なくとも1つのヘッダーがある場合には、局部のたわみ性の方向が分岐管によってのみ定義され、CAESAR  II のデフォルト設定によって、分岐管とヘッダーに対して円周方向と長手方向を決定します。クラス1の分岐管のたわみ性を用いる場合ばかりでなく、すべての場合に完全な交差部のモデル化を行うことを推奨します。ほとんどの場合に、完全な交差部のモデル化が不完全な交差部で必要な仮定で生じる問題を解決してくれます。

NB-3686.5 の式では、分岐管の公称肉厚 tn がすべてのケースで用いられます。

ヘッダーに対して、分岐管が斜めでヘッダーは同一線上にある場合には、局部のクラス1の分岐管のたわみ性は分岐管の接合するヘッダー表面の接線に対する長手方向と円周方向に考慮されます。

クラス1の分岐管のたわみ性は 1つの配管要素の両端に作成されます。

クラス1の分岐管のたわみ性に必要なオフセットは、CAESAR  IIでは自動的に作成されます。余分な入力は必要とせず、CAESAR  II はこれらの交差部を作成します。

交差部に、既にユーザーの定義したオフセットがあれば、ヘッダーの中心線からその表面までの分岐管中心での計算されたオフセットは、ユーザーのオフセットに追加されます。

自動オフセットは、ヘッダーの中心線からその表面までの分岐管中心での計算された長さが直管長の 98%以下であれば作成されます。

交差部モデルがベンドの一部である場合には、オフセットとたわみ性は計算されません。