衝撃荷重 (Impulse) - CAESAR II - ヘルプ

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12

この種の荷重履歴は、荷重がゼロからある値に急激に上昇し、一定の時間その値を保持して再びゼロに戻ります。荷重は時間的に急激な上昇で矩形に似た波形になります。衝撃荷重は時刻歴解析か、あるいは荷重スペクトル解析で解かれます。衝撃荷重の主な種類は、安全弁、ウォーターハンマー、スラッグフローです。

安全弁 (Relief Valve)

配管系の圧力が危険なレベルに達すると、安全弁は流体が解放され内圧力を低減します。弁からの解放時には、配管系にジェット力が生じます。この荷重はゼロから弁の全開までに急激に最大値まで達します。過圧力状態から十分な流体が解放され、弁が全開するとジェット力は一定となります。そして、弁は閉じられてジェット力は低減します。

ウォーターハンマー (Fluid Hammer)

配管系を通過する流体が弁の閉止、あるいはポンプのトリップにより突然1箇所で停止すると、残りの流体は即座に流れを止めることができません。流体は弁、あるいはポンプの上流側へ継続して流れようとし、流体は圧縮されその点で高い圧力となります。一方、下流側では流れ去ろうとするため、低い圧力、あるいは真空の状態になります。次のエルボ、あるいは閉止部での流体は、通常の運転圧力のままであれば、弁シート、あるいはエルボにアンバランスな圧力が作用します。

流体が連続した流れでは、流れを止めるかなり前の圧縮流体、あるいは圧縮が解放された流体が、配管系に圧力の衝撃伝播が生じます。衝撃圧力は最初のエルボに達すると両端の配管で平衡となり、最初の配管直管部では圧力がバランスしてゼロとなります。しかしながら、アンバランスな圧力はエルボを通過し、次の配管直管部の圧力を上昇させます。アンバランスな圧力荷重は継続して上昇し、また降下して伝播していきます。

急激な荷重の履歴は、弁の閉鎖時間、あるいはポンプのトリップにおけると最大流れと最小流れの継続時間でおおよそ対応させます。圧力波の先端部が配管系への衝撃時間を変化させることはないので、急激な荷重の落ち方も同じです。初期から急激な荷重の降下までの時間は、圧力波が配管直管部の長さを伝搬するに要する時間と同じになります。

スラッグフロー (Slug Flow)

ほとんどの配管系では単一の相の流体 (均一な液の流れ、あるいはガスの流れ) になるように設計されています。ある条件下では、流体は複数の相流れになる場合があり、スラッグフローになる可能性があります。たとえば、湿り気のあるスチームラインではスラッグに水が含まれるでしょう。これらのスラッグの液部分は、配管系のベンドや分岐部で流れの方向が変わると不平衡力を生じます。

一般に、配管系の流体が流れ方向を変えると、エルボ部での荷重が作用します。時間による運動量の変化として次のように表すことができます。

Fr= dp / dt = Dr v2 A [2(1 - cos q)]1/2

ここで:

dp = 運動量の変化

dt = 時間変化

Dr = 流体密度 - 蒸気密度

v = 流体速度

A = 管内断面積

q = エルボの曲がり角度

通常は、この荷重は一定で、管壁の引っ張りで容易に吸収できるほど小さいものです。次のエルボに大きさは同じで逆の方向の荷重が伝播します。これは配管系としては正味ゼロの荷重です。したがって、一般の配管の解析では、このような運動量の変化は無視されます。流体速度、あるいは流体密度が時間とともに変化する場合には、運動量が時間とともに変化するため、動的な荷重となり、お互いのエルボ同士で荷重を打ち消し合うことができません。

たとえば、ガス配管系の液スラッグを考えてみます。ガスの中の液体の密度は実質的にほぼゼロであり、定常状態の運動量は微々たるものです。 液体が急激にエルボに当たれば、かなりの運動量の増加となります。この荷重はスラッグがエルボを通過している間作用し、再び急激にゼロになります。このスラッグの正確な荷重履歴はスラッグの形状に依存します。荷重の作用時間は、スラッグの長さを流体の速度で割った値となります。

ここで:

F1 = rv2 A(1 - cos q)

Fr = rv2 A [2(1 - cos q)]½

F2 = rv2 A sin q