荷重ケースとは (What is a Load Case?) - CAESAR II - ヘルプ

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
12

CAESAR II の定義では、荷重ケースとはまとめて解析すべき配管系の荷重のグループであり、同時に作用する荷重でもあります。荷重ケースの例として、熱、自重、圧力などの運転荷重があります。他の例として、据付時の自重のみの荷重ケースがあります。

荷重ケースは他の荷重ケースの結果の組み合わせがあります。たとえば、運転荷重と据付荷重との変形差があります。

荷重ケースの内容にかかわらず、一連の出力レポートを作成します。これらは拘束点での荷重、変形、断面力、モーメント、応力です。配管規格による計算方法と許容応力の定義により、CAESAR II では荷重ケースは応力分類ごとに対をなしています。たとえば、運転荷重と据付荷重との変形差による応力は熱膨張応力 (EXP) として分類されます。

配管系の荷重 (Piping System Loads)

基本荷重ケースを構成する配管系の荷重は 基本配管入力 (Classic Piping Input) ダイアログにあるさまざまな入力項目に関連しています。次の表は、ここでの荷重セットの説明です。これらの名称と入力項目が解析で利用されます。

記述

名称

荷重ケースに関連する入力項目

W

自重 (Deadweight)

配管重量 (Pipe Weight), 断熱材重量 (Insulation Weight), リフラクトリー重量 (Refractory Weight), クラッド重量 (Cladding Weight), 流体重量 (Fluid Weight), 剛体重量 (Rigid Weight)

WNC

流体を含まない重量 (Weight No fluid Contents)

配管重量 (Pipe Weight), 断熱材重量 (Insulation Weight), リフラクトリー重量 (Refractory Weight), クラッド重量 (Cladding Weight), 剛体重量 (Rigid Weight)

WW

流体重量 (Water Weight)

配管重量 (Pipe Weight), 断熱材重量 (Insulation Weight), リフラクトリー重量 (Refractory Weight), クラッド重量 (Cladding Weight), 満水重量 (Water-filled Weight), 剛体重量 (Rigid Weight) (通常は耐圧試験として利用)

T1

熱荷重セット (Thermal Set) 1

温度 (Temperature) #1

T2

熱荷重セット (Thermal Set) 2

温度 (Temperature) #2

T3

熱荷重セット (Thermal Set) 3

温度 (Temperature) #3

T9

熱荷重セット (Thermal Set) 9

温度 (Temperature) #9

P1

圧力セット (Pressure Set) 1

圧力 (Pressure) #1

P2

圧力セット (Pressure Set) 2

圧力 (Pressure) #2

P3

圧力セット (Pressure Set) 3

圧力 (Pressure) #3

P9

圧力セット (Pressure Set) 9

圧力 (Pressure) #9

HP

耐圧試験圧力 (Hydrostatic Test Pressure)

耐圧試験圧力 (Hydro Pressure)

D1

強制変位セット (Displacements Set) 1

変位 (Displacements) (1st Vector)

D2

強制変位セット (Displacements Set) 2

変位 (Displacements) (2nd Vector)

D3

強制変位セット (Displacements Set) 3

変位 (Displacements) (3rd Vector)

D9

強制変位セット (Displacement Set) 9

変位 (Displacements) (9th Vector)

F1

荷重セット (Force Set) 1

荷重/モーメント (Forces/Moments) (1st Vector)

F2

荷重セット (Force Set) 2

荷重/モーメント (Forces/Moments) (2nd Vector)

F3

荷重セット (Force Set) 3

荷重/モーメント (Forces/Moments) (3rd Vector)

F9

荷重セット (Force Set) 9

荷重/モーメント (Forces/Moments) (9th Vector)

WIN1

風荷重 (Wind Load) 1

風荷重に対する形状係数 (Wind Shape Factor)

WIN2

風荷重 (Wind Load) 2

風荷重に対する形状係数 (Wind Shape Factor)

WIN3

風荷重 (Wind Load) 3

風荷重に対する形状係数 (Wind Shape Factor)

WIN4

風荷重 (Wind Load) 4

風荷重に対する形状係数 (Wind Shape Factor)

WAV1

波浪荷重 (Wave Load) 1

波浪荷重 (Wave Load On)

WAV2

波浪荷重 (Wave Load) 2

波浪荷重 (Wave Load On)

WAV3

波浪荷重 (Wave Load) 3

波浪荷重 (Wave Load On)

WAV4

波浪荷重 (Wave Load) 4

波浪荷重 (Wave Load On)

U1

分布荷重 (Uniform Loads)

分布荷重 (Uniform Loads) (1st Vector)

U2

分布荷重 (Uniform Loads)

分布荷重 (Uniform Loads) (2nd Vector)

U3

分布荷重 (Uniform Loads)

分布荷重 (Uniform Loads) (3rd Vector)

CS

コールドスプリング (Cold Spring)

材料 (Material) # 18 または 19

H

ハンガー初期荷重 (Hanger Initial Loads)

ハンガー設計または設計済みハンガー (Hanger Design or Prespecified Hangers)

利用可能な配管系の荷重は 静的解析 (Static Analysis) ダイアログの左に表示されます。

基本荷重ケース (Basic Load Cases)

荷重ケースは入力で定義された 1つ以上の主たる荷重タイプで構成されます。主たる荷重ケースとは、マトリックス式 [K]{x} = {f} の解が必要な荷重ケースです。

例:

  • W+T1+P1+F1 (OPE) はメジャーな荷重ケースです

  • W+P1+F1 (SUS) はメジャーな荷重ケースです

基本荷重ケースは、据付荷重解析 WNC のようにひとつの荷重から構成されています。また、運転荷重解析 W+T1+P1+D1+F1 のように荷重を足したものであることもあります。応力タイプは持続 (SUS)、熱膨張 (EXP)、短期 (OCC)、運転 (OPE)、疲労 (FAT) に分類され、荷重ケースの最後に指定されます。2つの定義例は次のとおりです: WNC (SUS) および W+T1+P1+D1+H (OPE). 各荷重ケースはこのように入力します。

W、T1、D1、WIN1 などの荷重成分は、2.0、-0.5 などのスケールファクターが前に付けられます。同様に、組み合わせ荷重ケースを構築する際は、スケールファクターをつけた荷重ケースが参照の前に付けられます。

ユーザーにとって、次のようなメリットがあげられます。

  • ひとつの荷重が他の荷重にとって複数になる場合、たとえば、運転基本地震 (Operating Basis Earthquake) の 2倍である安全停止用地震 (Safe Shutdown Earthquake) では、基本配管入力 (Classic Piping Input) ダイアログ上はひとつの荷重だけを入力してください。静的解析 - 荷重ケース エディタ (Static Analysis - Load Case Editor) ダイアログでスケールアップかスケールダウンができます。

  • 風荷重、あるいは地震荷重のように、方向が全く逆の場合は、基本配管入力 (Classic Piping Input) ダイアログ上ではひとつの荷重だけを入力してください。荷重の前に + または - を付けることで方向を逆転できます。

  • 荷重抵抗設計係数 (Load Rating Design Factor - LRDF) 法では、リスクによる係数で個々の荷重成分をスケーリングします。例:

    1.05W + 1.1T1+1.1D1+1.25 WIN1

応力の種類は各行のリストから選択できます。

組合せ荷重ケース (Combination Load Cases)

基本荷重ケースの結果は代数的加算法で組み合わされます。これらの代数的加算は、最後の基本荷重ケースに引き続いて行われます。基本荷重ケースの組み合わせは前添え字 L1、L2 などで判別されます。

代数和の荷重ケースは先に解が求まっている主たる荷重ケースの組み合わせです。例:

  • L1-L2 (EXP) は、選択した合成方法を用いた変位、荷重、応力の組み合わせケースです。

  • L4+L6+L8 (OCC) は、選択した合成方法を用いた変位、荷重、応力の組み合わせケースです。

+ および - 記号は、乗数の単項演算子/記号です。主たる荷重ケースまたは組み合わせ荷重ケースの荷重の前に値がない場合、乗数は +1.0 または -1.0 になります。荷重または荷重ケースの前に値があれば、乗数はその値の +値 または -値 になります。

応力の種類として疲労 (FAT) を有するすべての荷重ケースは、想定荷重サイクル数をデータとして持っていなければなりません。

荷重ケースの代数的加算の有効な例を次に示します。

荷重ケース


記述


備考

1

W+T1+P1+H+0.67CS (OPE)

ホット運転条件。スケール係数 0.67 はコールドスプリングに対して配管規格で規定している 2/3 の信頼性をとっています。

2

W1+P1+H+0.67CS(OPE)

コールド運転条件で、コールドスプリングをとっています。

3

W1+P1+H(SUS)

従来の持続荷重ケース。

4

WIN1(OCC)

風荷重ケース。これは平均の風荷重 1X、最大 2X で、正の方向、負の方向を表しています。

5

L1-L2(EXP)

従来の熱膨張ケースで、コールドからホットを表しています。DS よりも L を荷重に用います。

6

L1-L2(FAT)

同じケースですが、10,000回のサイクル数での疲労評価を行います。

7

L1+L4(OPE)

ホット運転荷重で平均風荷重を正方向に作用する荷重ケースです。

8

L1-L4(OPE)

ホット運転荷重で平均風荷重を負方向に作用する荷重ケースです。

9

L1+2L4(OPE)

ホット運転荷重で最大風荷重を正方向に作用する荷重ケースです。

10

L1-2L4(OPE)

ホット運転荷重で最大風荷重を負方向に作用する荷重ケースです。

11

L2+L4(OPE)

コールド運転荷重で平均風荷重を正方向に作用する荷重ケースです。

12

L2-L4(OPE)

コールド運転荷重で平均風荷重を負方向に作用する荷重ケースです。

13

L2+2L4(OPE)

コールド運転荷重で最大風荷重を正方向に作用する荷重ケースです。

14

L2-2L4(OPE)

コールド運転荷重で最大風荷重を負方向に作用する荷重ケースです。

15

L3+L4(OCC)

短期応力状態で、持続荷重と平均風荷重が作用する荷重ケースです。

16

L3+2L4(OCC)

短期応力状態で、持続荷重と最大風荷重が作用する荷重ケースです。

17

L9+L10+L11+L12(OPE)

最大拘束荷重ケースです。組み合わせオプションは MAX である必要があります。

CAESAR II は解析用に 999 の荷重ケースを受け付けます。さらに多くの荷重ケースが必要になる場合には、モデルを新しいファイルにコピーして追加の荷重ケースを指定して解析してください。