WRC 報告書 (Bulletin) 107(537) - CAESAR II - ヘルプ

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日本語
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CAESAR II
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12

アメリカの溶接研究所 (Welding Research Council) 発行の報告書 WRC 107 が、1965年以来最もよく使われている圧力容器ノズル接合部の局部応力に対する設計手法です。ソフトウェアで利用可能な WRC107には 3つの改訂版があります。ツール > 環境設定 (Tools > Configure/Setup) でデフォルトを設定できます。利用可能なオプションの詳細については、環境設定ファイルの編集 (Configuration Editor) を参照してください。

2010年に WRC報告書 537 が発行されました。 WRC 報告書 537 の序文によると、 "WRC 537 は使いやすく、明らかな数値で全く同じ内容を提供しています。107 の更新あるいは改訂版ではありません。" CAESAR II は報告書 107 の図を使っています。 報告書 537 は単に報告書 107 の線図に代わって式で表しただけのものです。

WRC107 は圧力容器のノズル周辺部の局部応力を計算できるルールです。この手法により、圧力容器の内外面の応力を計算し、容器/ノズルの交差部における長手と円周方向の応力をレポート出力できます。WRC107 で採用されている記号は、球形胴と円筒胴の作用荷重と応力の方向を定義しており、以下の記号があります。

球形シェルに関する WRC 107 軸方向規約

円筒形シェルに関する WRC 107 軸方向規約

球形胴 (Spherical Shells)

円筒胴 (Cylindrical Shells)

WRCの軸の定義 (Defining WRC Axes):

P軸 (P-axis): ノズル中心線で容器に向かう方向を正とします

M1軸 (M1-axis): ノズル中心軸に垂直で、便宜上の全体軸に沿っています。

M2軸 (M2-axis): M1軸と P軸のベクトルの積になります。

WRCの軸の定義 (Defining WRC Axes):

P軸 (P-axis): ノズル中心線で容器に向かう方向を正とします

MC軸 (MC-axis): 容器中心軸に平行で、対応する全体軸の方向に沿って正とします。

M2軸 (M2-axis): MC軸と P軸のベクトルの積になります。

WRC応力計算点の定義 (Defining WRC Stress Points):

u: 上部、すなわち容器のノズル接続部外面

l: 下部、すなわち容器のノズル接続部内面

A: M1軸で負の方向の容器ノズル位置

B: M1軸で正の方向の容器ノズル位置

C: M1軸で正の方向の容器ノズル位置

D: M2軸で負の方向の容器ノズル位置

WRC応力計算点の定義 (Defining WRC Stress Points):

u: 上部、すなわち容器のノズル接続部外面

l: 下部、すなわち容器のノズル接続部内面

A: MC軸で負の方向の容器ノズル位置

B: MC軸で正の方向の容器ノズル位置

C: ML軸で正の方向の容器ノズル位置

D: ML軸で負の方向の容器ノズル位置

せん断軸 VC は ML軸に平行で同じ正の向きを取り、せん断軸 VL は MC軸に平行で同じ正の向きを取ります。

WRC 107/537 座標系システムは、容器の方向とは独立しているという利点があります。すべての荷重とモーメントは、容器とノズルの局部に定義されます

次の WRC 107 座標系は cylindrical (円筒胴) の例です:

P - 半径方向荷重
VC - 円周方向せん断荷重
VL - 長手方向せん断荷重
MC - 円周方向モーメント
ML - 長手方向モーメント
MT - ねじりモーメント


次の WRC 107 座標系は spherical (球形) 容器の例です:

P - 半径方向荷重
V1 - ポイント B から A のせん断荷重
V2 - ポイント D から C のせん断荷重
M1 - ポイント A から B のモーメント
M2 - ポイント D から C のモーメント
MT - ねじりモーメント

WRC 107は、補強板の端部の容器のシェル局部応力を安全側に算定する一般的な方法でもあります。容器のこのノズルが補強板で補強されている場合は、外径が補強板の外径に等しい中身の詰まったソリッドのプラグを仮定してノズル荷重を作用させた状態での応力を表しています。

ノズル/容器交差部の局部応力状態を計算するために WRC107を使う前に、形状の制限が WRC107を満足していることを確認してください。この制限は、接続するノズルと容器の種類によって異なります。この情報の詳細は、直接 WRC107 報告書を参照してください。

ノズルが非常に小さい場合、あるいは WRC のパラメータカーブを明らかに超えている場合には、WRC 107 を使わない方がよいでしょう。WRC 107 の出力は、使用した図番と横軸のパラメータの値、取得した値を示します。ユーザーはこれらの WRC 107 の出力結果をチェックし、計算された応力の正しさを念のため確認してください。たとえば、パラメーターが図の端にあるとき、あるいは外れているときは、計算された応力値はあまり信頼のおけるものではありません。