ウォーターハンマー荷重の動解析 - ハンマーリング (Dynamic Analysis of Water Hammer Loads - HAMMER) - CAESAR II - Reference Data

CAESAR II アプリケーション ガイド

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

この例題では、クーリングウォーターの配管系において、軸受けの温度異常によってタービン駆動ポンプが停止したときに圧力サージが発生します。タービントリップ時に、エルボ節点45 で、X方向に 6 から 8インチの瞬間的な移動「jump」が観測されました。タービントリップによるこのような瞬間的な移動が起こらないように、サポート設計をしてください。

  • 流体物性 (Fluid Properties) - 250 psi @ 140° F

  • 流速 (Flow Velocity) - 6 fps

  • 体積弾性率 (Water Bulk Modulus) - 313000 psi

    O474256

解析 (SOLUTION)

ポンプの圧力波形は、節点5 のポンプ吐出から伝播し、その大きさは次の式で表されます。

dp = r c dv

ここで:

dp = ポンプの急停止による圧力の上昇

r = 流体密度

c = 流体の音速

dv = 流体の速度変化

流体の音速は次式で表します:

c = [Ef/(r+ r(Ef/E)(d/t))]0.5

ここで:

Ef = 流体の体積弾性率 (313000 psi)

E = 管の縦弾性係数 (30E6 psi)

d = 管の平均径

t = 管の肉厚

r = 流体密度 (62.4 lbm/ft3)

ρ + ρ(Ef/E)(d/t) = 62.4 lbm/ft3

[1 + (313000/30E6)(8.62 -0.322)/0.322] = 79.1875 lbm/ft3

c = (313000 lbf/in2)(ft3/79.1875 lbm)(32.2 lbm ft/lbf sec2)(144in2/ft2)1/2 = 4281 ft/sec

音速に関する詳細は、Piping Handbook, Crocker & King, Fifth Edition, McGraw-Hill の 3-189ページから 3-191ページを参照してください。

ハンマーリングの圧力伝搬に関して、次の式が得られます。

dp = r c dv = (62.4 lbm/ft3)(4281 ft/sec)(6.0 ft/sec)

= (62.4 lbm/ft3)(4281 ft/sec)(6.0 ft/sec)(lbf sec2/32.2 lbm ft)(ft2/144 in2)

= 345.6 psi

流体が急に停止するときに、明らかに2つの圧力波形が生じます。1つはポンプ供給側での脈動で、他の 1つはポンプの吐出側での脈動です。この例では、供給側のハンマーリングの影響のみを考慮しますが、吐出側のハンマーリング大きさと影響は、設計時には同じように検討されることになります。

ウォーターハンマーの時刻歴波形は次のとおりです:

Pod - 吐出圧力

Ps - 吸込み側静圧

Pos - 運転時吸込み圧力

dp - ポンプ内流体の急停止に伴う圧力の変動

Pv - 流体温度における液体蒸気圧力

配管系には、アンバランスな荷重が作用し、交流のエルボ間で圧力波が伝播します。このアンバランスな荷重の大きさは次のようになります:

F unbalanced = dp x Area

この荷重の作用時間は、t = L/c で計算されます。ここで、L はエルボ間の配管長さです。この例では、節点45 の大きな変位の原因となったと想定されるエルボ間は、節点 45-75、と 90-110 です。

アンバランスな荷重の上昇時間は、ポンプメーカーの試験から入手してください。前に示した時刻歴圧力波形から決めることができるでしょう。ここでは、上昇時間は 5ミリ秒と推定します。

計算 (CALCULATIONS)

L 45-75 = 7 + 4(20) + 4 = 90 ft.

L 90-110 = 3(20) + 15 = 75 ft.

Area = P/4di2; di = 8.625-(2)(0.322) = 7.981 in.

Area = P/4(7.981)2 = 50.0 in2

F unbalanced = dp x Area = (345.6) (50.0) = 17289 lbf

t duration = L/c

= (90)/(4281) = 21 ミリ秒 (milliseconds), 45 から 75 のレグ

= (75)/(4281) = 17.5 ミリ秒 (milliseconds), 90 から 110 のレグ

t rise = 5.0 ミリ秒 (milliseconds)

この例では、配管系は低炭素鋼で、主な設計変数は大きな変形量です。問題解決の目的は、ウォーターハンマーによる大きな変形によって熱的な変形を吸収できなくなるような不具合を防ぐためのサポート設計になります。

  1. 下図のように、DLF スペクトルファイルを作成します。

  2. スペクトル定義 (Spectrum Definitions) タブで、スペクトルを定義します:

  3. 荷重セット (Force Sets) タブで、荷重セットを定義します。

    3つのスペクトル荷重ケースを設定します。1つは個別のもので、他は組み合わせになります。

    応力評価のために、静的持続荷重ケースと、それぞれの動的荷重ケースを組み合わせます。拘束のある運転荷重については、運転荷重ケースとそれぞれの動的荷重ケースを必要に応じて組み合わせます。

  4. 制御パラメータ (Control Parameters) タブでオプションを以下のように設定します: