単純なベローの内圧推力 (Simple Bellows with Pressure Thrust) - CAESAR II - Reference Data

CAESAR II アプリケーション ガイド

Language
日本語
Product
CAESAR II
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Reference Data
CAESAR II Version
13

ここで説明に用いる伸縮継手の数値はあくまで例です。配管設計、および伸縮継手の設計では、技術的な検討を行って数値を決定することを CAESAR II は推奨します。

伸縮継手のベローは、長さゼロの、あるいは長さを持つ要素としてモデル化できます。長さを持つ要素としてモデル化する場合、曲げ、またはせん断の剛性のいずれかは空白にしてください。CAESAR II は空白になっている剛性を内部で正確に計算します。すべての剛性が入力された場合、CAESAR II はこれらの入力されたデータを用いて、剛性の計算は行いません。長さを持つ伸縮継手では、基本配管入力 (Classic Piping Input) ダイアログの 伸縮継手補助データ (Expansion Joints Auxiliary Data) タブで、曲げ剛性 (Bending Stif) ボックスを空白にして、せん断剛性 (Trans Stif) ボックスにメーカーの垂直せん断剛性を入力してください。

は Expansion Joint Manufacturer's Association (EJMA, 伸縮継手製造者協会) の式を用いて、金属ベローの曲げ剛性、あるいはせん断剛性を計算します。EJMA では、これらの値を次のように定義しています:

Ktr = (1.5Kax)(Deff/L)2 (1)

Kb = (Kax) (Deff)2/8 (2)

ここで

Kb = ベローの曲げ剛性 (Bending angular stiffness of the bellows)

Ktr = ベローのせん断剛性 (Transverse lateral stiffness of the bellows)

Kax = ベローの軸剛性 (Axial stiffness of the bellows)

Deff = ベローの有効平均径 (Effective diameter mean diameter of the bellows)

L = ベローの総山数の長さ (Length of the bellows for all convolutions)

上記の式 (2) は、ヒンジ型の伸縮継手で長さがゼロのベローのモデルについての基本式です。

有効 ID (Effective ID) ボックスを空白 (ゼロ) にしておくことができ、CAESAR II は、有効径を消去して曲げ剛性、あるいはせん断剛性を計算することができます。曲げ剛性は次の式によります。

Kb = (KtrL2/3)(p/180) (3)

(3) は、上記の式 (1) と式 (2) から得られる曲げ剛性に係数 4 を乗じています。

または

Ktr = (3Kb/L2)(180/p) (4)

(4) は、上記の式 (1) と式 (2) から得られる曲げ剛性を係数 4 で除しています。

基本的なベローは、長さゼロの要素でモデル化されます。曲げ剛性を持つ長さのあるベローは、長さゼロのベローではない、せん断変形をします。長さのないベローでは、曲げに対して有限の長さのあるベローのせん断方向の変位をゼロとします。これにより、長さのあるベローの曲げ剛性を、長さにかかわらず長さゼロのベローの 4倍にする必要があります。これは、「guided cantilever methods」と同様です。

多くの伸縮継ぎ手メーカーのカタログでは、長さゼロを基準とした曲げ剛性を用いていますが、せん断剛性は長さのあるベローを基準としています。詳細は、上記の式 (1)(2) を参照してください。したがって、せん断剛性を入力し、曲げ剛性 (Bending Stif) ボックスを空白のままにしておいてください。CAESAR II は、式 (3) により適切な曲げ剛性を計算し、配管系の応力解析に使用します。式 (1) に一致しない KTR が入力されると、式 (3) が入力された値に対して用いられ、曲げ剛性 Kb を計算します。

カタログ値である Kb が用いられ、長さゼロを基準とした値であれば、CAESAR II は式 (4) を用いて、せん断剛性 KTR は 4分の1 となってしまいます。

  • 長さゼロのベローでは、CAESAR II は前後の要素を使ってベロー軸方向を決定します。前の要素が最初にチェックされます。

  • ベローはねじりに対して大変弱いものです。正確なねじり剛性と許容回転角をベンダーから取り寄せてください。

  • タイロッドなしのシステムは低圧仕様となっているか、あるいは十分な固定とガイドが用意されていて拘束のないベローにより生じる大きな内圧推力を耐える構造になっています。

  • ベローと付属物の重量はベローの両側のフランジ継手に加算するか、集中荷重として加算してください。ハンガー選定での計算ではベロー重量は無視できませんので、重量を振り分けてください。

有効 ID (Effective ID) がゼロ、あるいは空白の場合は内圧推力が計算されません。ベローの 有効 ID (Effective ID) は平均径であり、内圧推力の計算に用いられます。全推力はベローの From To 節点に作用し、圧力が正であればベローを開こうとします。内圧推力の大きさは、P ´ Aeff で、P は大気圧下の内部圧力、Aeff は有効径として、次の式で表すことができます。

Aeff = p/4 ´ (DEff)2

多くのメーカーはベローの有効径を指定しています。CAESAR II の 有効 ID (Effective ID) は、次の式を使って得ることができます:

Deff = [4Aeff /p]½

下記の例では、タイロッドなしのベローが節点8 から 9 になっています。節点11 のエルボは内圧推力を受けるために固定されています。メーカー仕様によれば、軸方向剛性は 5131 lbs/in. で、せん断剛性は 27058 lbs/in. です。曲げ剛性が空白であり、長さありのベローであるため CAESAR II によって計算されます。節点5 のポンプとベースプレートは、ベローの内圧推力による大きな軸荷重に耐えるようにする必要があります。

Aeff = 69 in2

P = 175 psi

推力 (Thrust) = 69(175)=12075 lbs. (自動的に CAESAR II で計算)

* 曲げ剛性 (Bending Stif) は CAESAR II が計算:

KBend = 1/3KtrL2(p/180) = 984 in-lbs/degree